教訓(補足2)

その当時はまだ バブルの名残も多少あり、客の金の使い方は派手な人も多かった。


私がいたスナックではブランデーはヘネシー。ウイスキーはリザーブ。時々ジョニー


ウォーカーの赤(ジョニ赤やジョニ黒って呼んでいた)やフォアローゼス等が出ていた。


今みたいに居酒屋以外では焼酎を飲む人もいないし、焼酎を置いてても出なかった。


居酒屋とスナック、クラブやパブ、バー等 ちゃんと飲み分けをして呑んでいたのは


呑み方をバブル世代から教えられていたのかもしれない。


格好付ける店や、呑む時の楽しみ方、暗黙のルールでのバーの飲み方。スタッフへの気遣


いは昔のほうが上手だった気がする。


もちろん、スタッフ側(ボーイやホステス)経営してるママやマスターも同じで


接客やお酒の知識、目配り気配り心配り を昔の方がちゃんとしていた。


それが時代であり、良いのか悪いのかは別として 私は昔の呑み方が好きだ。


客側も店側もその なんとなく っていうのが大人の世界って感じがしたからだ。


ひとつ不思議なものといえば、当時スナック等の肩書の垣根っていうのが曖昧で、


ラウンジ、スタンド、パブ、スナック、クラブ、ホスト、ボーイズバー・・。


どこからがどうって云うのが曖昧だった記憶がある。


私の記憶では(違うかもしれない)が、立って呑むスナックがスタンド。


女の子が数人いて、安っぽい店から順にパブ→ラウンジ→クラブ。


男も同じで安っぽい店からボーイズバー→ホスト。


そんなイメージなんだが、その基準や垣根っていうのが未だにわからない。


その頃、そこまで気にはならなかったが。


 私のいた店では19時開店で、店には17時に入って準備をする。


氷のカチ割り、店内掃除(どこの店もトイレと玄関は徹底的にキレイにしてた)


ボックスや鏡を拭く(ボックスはカウンターじゃない座るテーブル席の事)


最初のセット(座ったら座席代として勝手に出てくる一品)の小料理の準備。


カラオケの音響確認やボトル拭きと、補充。


これはどれも大事で グラスを拭くことでタンブラーの役割を覚える。


ビールのグラスはビアタン。水割りはハッタン、シャンパングラスにワイングラス


って具合に覚えていくし、音響確認しながらカラオケ曲や番号(当時は盤だから)


それにボトル拭く事で客の名前や残量、その客が来たらスムーズに出せるメリット


マドラーの混ぜ方や、氷の入れ具合マッチの付け方(ライターも同じ)までこの時に


色々教えてもらえる機会にもなっていた。


どんな小さなスナックでもママやマスターっていうのはプライドが高く、


その辺りが店の個性に繋がり どの店もおもしろかった。


 今ではお客様重視のお店が多いが、当時は入り口に謎の会員制の札があって


一見さん(いちげんさんと言って初めての客)お断りも多かった。


店には合わないと店側が客を追い返すのも当たり前のようにあった。