最初にスナックから入ったのが良かったのか?
人生を知らなすぎて怖いものがなかったのか?
私は水商売に向いていたのか? 客にも天性だなとも言われるほど向いていた。
それは初めて知る夜の世界で、大人と対等に話ができる喜びと
適当に持ち上げればチップが貰える事。
馴染みの女性客からは服に旨いものや、バックに貴金属と貢いでくれるってのも面白かっ
た。
当然 こんな世界があるのか?って有頂天にもなり、金銭感覚も麻痺してくる。
上り調子の時は何もかもが良い方向に進んでいく感じがする。
弟のように可愛がってくれるヤクザがいた。
ヤクザ事情はよく知らなかったが、かなり上の人だったらしく
行くとこ行くとこで私の顔も覚えられ、顔が広くなっていく。
またある日、そのヤクザが刺青の有名な先生のとこで刺青を彫ってもらっていた
のだが、そこにも連れていかれた。
彫師っていうのは特別な存在で、その筋の上の人ですら彫師を先生っと呼ぶような、一目
置かれる存在だった。
私は その彫師と仲良くなり 毎日のように店終わっては呑みに誘われるようになっ
た。
誘われて行く店では(当時の話)フリィピンや韓国と不正に連れてきた女性を
店に出していた。
もちろん人だけじゃなく、違法な薬や国内に不正入国している人の仕送りの闇銀行
、ビデオ撮影や販売。他にも色々な裏の世界を知ることとなった。
ある程度は一緒にいると知ってることもあったが、冷酷無情な人じゃないと出来ない仕
事。人を捨てることで出来るビジネスなんだとあらためて気付かされた。
私は当時まだ10代に毛が生えた程度。完全な内々じゃなく第三者の客分扱いだった
ので、傍観者程度で深入りせずにすんだ。
とはいえ、染まる程の悪も深入りすほどの根性もないのだが・・・。
だけど後々、この人達に反目だと言われ私は 本当に怖い目にあうんですけどね。
下り調子の時は何もかもが悪い方向に進んでいく感じがする。